障 障 発 090 9第 1号 平 成 2 8 年 9 月 9 日
都道府県
指定都市 障害保健福祉主管部(局)長 殿 中 核 市
厚 生 労 働 省 社 会 ・ 援 護 局 障 害 保 健 福 祉 部 障 害 福 祉 課 長
( 公 印 省 略 )
障害者支援施設等における利用者の安全確保及び非常災害時の体制整備の強化・徹底に ついて
8 月 3 1 日 に 、 岩 手 県 下 閉 伊 郡 岩 泉 町 の 認 知 症 高 齢 者 グ ル ー プ ホ ー ム に お い て 、 台 風 第 1 0 号 に 伴 う 暴 風 及 び 豪 雨 に よ る 災 害 発 生 に よ り 多 数 の 利 用 者 が 亡 く な る と い う 痛 ま し い 被 害 が あ り ま し た 。
障 害 者 支 援 施 設 等 に お い て も 、 介 護 保 険 施 設 等 同 様 、 自 力 避 難 困 難 な 方 も 多 く 利 用 さ れ て い る こ と か ら 、 利 用 者 の 安 全 を 確 保 す る た め 、 水 害 ・ 土 砂 災 害 を 含 む 各 種 災 害 に 備 え た 十 分 な 対 策 を 講 じ る 必 要 が あ り ま す 。
こ れ ま で も 「 社 会 福 祉 施 設 に お け る 防 災 対 策 の 再 点 検 等 に つ い て 」 ( 平 成 1 0 年 8 月 3 1 日 社 援 第 2 1 5 3 号 ) 等 の ほ か 、 今 回 の 被 害 を 踏 ま え 発 出 し た 「 社 会 福 祉 施 設 等 に お け る 非 常 災 害 対 策 及 び 入 所 者 等 の 安 全 の 確 保 に つ い て 」 ( 平 成 2 8 年 9 月 1 日 雇 児 総 発 0 9 0 1 第 3 号 、 社 援 基 発 0 9 0 1 第 1 号 、 障 障 発 0 9 0 1 第 1 号 、 老 高 発 0 9 0 1 第 1 号 ) の 各 通 知 及 び 関 係 法 令 に 基 づ き 、 障 害 者 支 援 施 設 等 の 非 常 災 害 対 策 に 万 全 を 期 す る よ う 、 指 導 を 行 っ て い た だ い て い る と こ ろ で す が 、 今 回 の 被 害 の 状 況 を 踏 ま え て 特 に 留 意 す べ き 事 項 を 下 記 の と お り ま と め ま し た の で 、 管 内 市 町 村 及 び 貴 管 下 障 害 者 支 援 施 設 等 へ 周 知 い た だ く と と も に 、 都 道 府 県 等 に お か れ て は 、 水 害 ・ 土 砂 災 害 を 含 む 非 常 災 害 時 の 計 画 の 策 定 状 況 、 避 難 訓 練 の 実 施 状 況 ( 実 施 時 期 等 ) に 関 し 、 指 導 ・ 助 言 い た だ き 、 そ の 結 果 に つ い て 点 検 い た だ く よ う お 願 い い た し ま す 。
各
ま た 、 下 記 3 に 記 載 し て い る と お り 、 非 常 災 害 対 策 計 画 の 策 定 状 況 や 避 難 訓 練 の 実 施 状 況 に つ い て は 、 別 紙 項 目 に つ い て 年 末 時 点 の 状 況 を 調 査 す る 予 定 で す の で 、 ご 承 知 お き く だ さ い 。
な お 、 本 通 知 に つ き ま し て は 、 内 閣 府 や 消 防 庁 等 関 係 省 庁 及 び 省 内 関 係 部 局 と 協 議 済 み で あ る こ と を 申 し 添 え ま す 。
記
1 情報の把握及び避難の判断について
障害者支援施設等の管理者を含む職員は、日頃から、気象情報等の情報把握に努めるとと もに、市町村が発令する「避難準備情報」、「避難勧告」等の情報については、確実に把握し、利 用者の安全を確保するための行動をとるようにすること。
このため、災害時に市町村が発令する「避難準備情報」等を障害者支援施設等が入手する方 法について、停電等の場合も含め、予め所在市町村に確認すること。
また、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」(平成 27 年8月 19 日付内閣府策 定)において、「避難準備情報」発令の段階で、災害時要配慮者は、避難の開始が求められるこ とから、予め定めた避難場所へ避難するなど適切な行動をとる旨、避難計画に定め、発令された 際には適切に行動すること。「避難勧告」や「避難指示」においても、適切に行動すること。なお、 こ れ ら の 実 施 に 当 た っ て は 、 内 閣 府 が 作 成 し た 別 添 1 「 水 害 や 土 砂 災 害 か ら 命 を 守 る た め に!~社会福祉施設など災害時要配慮者利用施設の管理者の皆様へ~」も参照すること。
特に、近年、「想定外」の大規模な災害が発生することも多いことから、過去の経験のみに頼る ことなく、利用者の安全を確保するために必要な対応を最優先に検討し、早め早めの対応を講じ ること。
「避難準備情報」等に基づき、職員に求められる行動に関しては、別添2「今後の水害等に備 えた警戒避難体制の確保について(周知依頼)」(平成 28 年9月2日付事務連絡(厚生労働省雇 用均等・児童家庭局総務課、社会・援護局福祉基盤課、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉 課、老健局高齢者支援課)を参照願いたい。
2 非常災害対策計画の策定及び避難訓練について
障害者支援施設等は、非常災害に関する具体的な計画(以下「非常災害対策計画」とい う。)を定めることとされているが、この計画では、火災に対処するための計画のみではな く、火災、水害・土砂災害、地震等に対処するための計画を定めることを想定しており、 必ずしも災害ごとに別の計画として策定する必要はないが、水害・土砂災害、地震等地域
の実情にも鑑みた災害にも対処できるものとすること。
非常災害対策計画に盛り込む項目としては、以下の例が考えられる。非常災害対策計画 は、実際に災害が起こった際にも利用者の安全が確保できる実効性のあるものとすること が重要であり、別添3の資料も参考としながら、各障害者支援施設等の状況や地域の実情 を踏まえた内容とすること。
【具体的な項目例】
・障害者支援施設等の立地条件(地形 等)
・災害に関する情報の入手方法(「避難準備情報」等の情報の入手方法の確認等)
・災害時の連絡先及び通信手段の確認(自治体、家族、職員 等)
・避難を開始する時期、判断基準(「避難準備情報発令」時 等)
・避難場所(市町村が指定する避難場所、施設内の安全なスペース 等)
・避難経路(避難場所までのルート(複数)、所要時間 等)
・避難方法(利用者ごとの避難方法(車いす、徒歩等) 等)
・災害時の人員体制、指揮系統(災害時の参集方法、役割分担、避難に必要な職員数 等)
・関係機関との連携体制 等
また、非常災害対策計画の内容を職員間で十分共有するとともに、関係機関と避難場所 や災害時の連絡体制等必要な事項について認識を共有すること。
さらに、避難訓練を実施し、非常災害対策計画の内容を検証し、見直しを行うこと。そ の際には、夜間の時間帯にも実施するなど、混乱が想定される状況にも対応できるよう、 訓練を実施すること。
非常災害対策計画の策定過程においても、災害に関する情報の入手方法や避難場所等必 要な情報が施設内で共有されていない場合には、速やかに共有しながら、策定を進めるこ と。また、非常災害対策計画の策定に際しては、地域の関係者と連携及び協力すること。
上記に記載した留意事項は、今般の事案の課題を踏まえたものであるが、既に発出され ている通知等も踏まえて障害者支援施設等における非常災害対策を講じること。
非常災害対策計画策定の参考となる資料として別添3の資料を添付するので、併せて参 考とすること。
3 点検及び指導・助言について
都道府県等は、上記1、2に記載した留意事項を踏まえ、障害者支援施設等における水
害・土砂災害を含む非常災害対策計画の策定状況及び避難訓練の実施状況について点検し、 水害・土砂災害を含む非常災害対策計画が策定されていない場合、策定されているが項目 等が不十分である場合については、速やかに改善し、遅くとも年内までに改善されるよう、 指導・助言を行うこと。
また、避難訓練についても水害・土砂災害を含む避難訓練を実施できていない場合には、 速やかに実施し、遅くとも避難訓練実施の予定を年内までに立てるように指導・助言を行 うこと。
別紙の3の対象施設における別紙の1、2に記載した項目について、今年末時点の状況 を都道府県等において把握及び報告をお願いすることとなる。
なお、別紙の項目については、今後、状況により変更する可能性があることを予めご承 知おき願いたい。
【参考となる資料】
(別添1)「水害や土砂災害から命を守るために!~社会福祉施設など災害時要配慮者利用 施設の管理者の皆様へ~」(内閣府作成)
(別添2)「今後の水害等に備えた警戒避難体制の確保について(周知依頼)」(平成 28 年9月2 日付事務連絡(厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課、社会・援護局福祉基盤課、 社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局高齢者支援課)
(別添3)「指定障害福祉サービス事業者等のための『非常災害対策計画』作成の手引き」(平成 26年3月愛知県健康福祉部障害福祉課)
http://www.pref.aichi.jp/shogai/05jigyousha/shitei/index.html
(別紙) 調査項目案(予定)
1 非常災害対策計画
① 水害・土砂災害を含む非常災害対策が策定されているか。
② ①で策定されている非常災害対策計画に以下の項目がそれぞれ含まれているか。
・障害者支援施設等の立地条件
・災害に関する情報の入手方法
・災害時の連絡先及び通信手段の確認
・避難を開始する時期、判断基準
・避難場所
・避難経路
・避難方法
・災害時の人員体制、指揮系統
・関係機関との連携体制
2 避難訓練
① 平成 28 年に水害・土砂災害の場合を含む避難訓練が実施されたか。
② されていない場合、実施予定時期はいつか。
3 対象施設等
・障害者支援施設 ・療養介護事業所 ・生活介護事業所 ・短期入所事業所 ・自立 訓練事業所 ・就労移行支援事業所 ・就労継続支援事業所 ・共同生活援助事業所 ・ 障害児入所施設 ・児童発達支援事業所 ・医療型児童発達支援事業所 ・放課後等デ イサービス事業所 ・児童発達支援センター
※上記項目は厚生労働省において調査する予定の項目を示したものであり、非常災害対策 として上記項目のみを実施すれば足りるというものではない。
※上記項目については、現時点で予定している項目であり、今後、項目の追加・変更等が ありうる。